戦利品②

2つ目の戦利品はずっと欲しかった《Brown’s BEACH JACKET(ブラウンズビーチジャケット)》のベストになります.

《ブラウンズビーチジャケット》のアイテムはヴィンテージ古着の定番の一つといえます.とりわけ《ビーチクロス》(後述)と呼ばれる生地を使用したアイテムの実名復刻もされており,その人気の高さが伺えます.一昔前よりヴィンテージブラウンズビーチの熱は収まったとはいえ,未だその人気は衰えません.よって価格もあまり落ちてこないし,昨今の古着ブームでむしろその価格は再上昇の兆しもある??

 

これまでもヴィンテージショップでベストを試着する機会は幾度とあったのですが,サイズが合わずに断念し続けてきました.しかし,ようやくサイズと状態に満足できる個体に出会い,この度購入となりました.

 

そして実はブラウンズビーチのベストですが,お仲間も同時に購入しておりますので比較しながら紹介していきたいと思います.

 

ブラウンズビーチジャケットとは?

William W Brown氏が1901年に《Brown’s BEACH JACKET社》を東海岸に位置するマサチューセッツ州で設立したのが起源になります.ワーク(アウトドア)ウェアを中心に商品を展開し,1920年代頃には全米で人気だったそうな.しかしそんな一度は全米で人気を博した《ブラウンズビーチジャケット社》は1960年代に消滅してしまいます.

 

《ブラウンズビーチ》でとりわけ有名なのがコットンの編み物と裏面のウールフリースから成る2重構造のブラウンズビーチ社独自の生地【ビーチクロス】であり,言わずもがなこれが今回紹介するベストの生地として使用されています.

 

年代によって異なるディテール

1901年から1960年代まで作られていたブラウンズビーチの衣類ですが,60年以上の歴史があると年代によってディテールが異なります.

参考程度ではありますが,簡単に年代によるディテールの違いを見ていきたいと思います.

 

1930年代頃

画像出典:Feeet

最大の特徴はシンチバックが付くことになるかと思います.

画像出典:Feeet

ニップル(乳首)ボタンと呼ばれるボタンも古い年代のものにみられます.またボタンに《Brown’s BEACH VEST》と刻印されます(無刻印のボタンのものもあるみたいです).

 

タグは黒ベースに黄色の文字でブランド名が入るものになります.

画像出典:Feeet

 

1940年代~50年代

今回僕が購入したのがこの年代のものになります.なのでここからの画像は実際に僕が購入したベストの画像になります.

タグ

三角タグとよばれるタグになります.30年代頃のものと比べると印象はかなり異なります.白ベースに紫っぽい色でブランド名がプリントされています.

ボタン

《BROWN’S BEACH VEST》から《BROWN’S BEACH CLOTH》に変更となっています.ボタンの質感も異なっているかと思います.

スナップ式のボタンという点は30年代と同じですが,ニップルボタンではなくボタンの真ん中が凹んでいることが分かります.

 

全体像

基本的なデザインは30年代と変わりません.フロントには4つのパッチポケットがつきます.が,ポケットとしての機能は形状や大きさがあまり実用的とはいえないので期待しない方が良いでしょう.

30年代頃の古い年代のものはフロントがVネックとなっていますが,40年代~は丸首になります.

古い年代にみられたシンチバックはなくなります.

 

1950年代~60年代

こちらは今回古着ツアーに同行したお仲間が購入したものになります.

タグ

先代のタグとはガラっと雰囲気がかわります.古着屋でみかけるタグは年代が比較的新しいこのタグを見かけることが一番多いかと思います.《Brown’s BEACH JACKET》の頭文字をとり《BBJ》と書かれたタグを見かけることもあります.

 

タグとは関係ありませんが,タグの画像にちょうど裏地がみえているので裏地の話を少し.

裏地のウールの素材は年代によって若干異なるかもしれません.40~50年代のものと50~60年代のものとを比較すると後年のモデルの方が裏地がモサモサとしているような印象があります.個人的には前者の方が僕は好きです.

 

ボタン

《BROWN’S BEACH CLOTH》から《BROWN’S BEACH JACKET》とボタンの刻印が変化します.

フロントのカッティングが40~50年代のものと比べて微妙に異なりますが,デザインは基本同じです.

 

《ブラウンズビーチ》のベストといえど年代によってこのような差があるので,古着屋で見かけたらどの年代のものかをディテールから推測しながら見定めるのも楽しいかと.

 

ちなみに僕たちが購入したブラウンズビーチのベストは同じショップにあったもので,ほぼ同時に2枚が売れたことになります(笑).

ちなみにこのショップにはもう一枚ブラウンズビーチのベストがありました.ヴィンテージが同時期に3着もあるってある意味すごい!!

 

購入時の注意点

ブラウンズビーチのアイテムを購入する際には注意点があります.

 

パイピングのスレ

脇や襟に施されたパイピングは傷みやすく,擦り切れや場合によっては破れていることも少なくありません.なのでその部分はきちんとチェックした方が良いでしょう.

また内側の襟元やボタンが取り付けられている内側にはコットンの生地が裏打ちされているのですが,そこもダメージがあることが少なくないのでチェックした方がい良いでしょう.内側なので外からは見えませんけどね.

 

裏地のスレ

裏地はスレやすく,2重構造のウールが剥がれてしまっていることがあります.特にパンツと擦れやすいからか,ベストの裾のウールが剥がれてしまっていることが多いです.

今回僕が購入したものもご覧の通りウールが剥がれ,表地がうっすらと見える状態になっています.まぁこの程度のスレを許容しないと一生マイサイズのものには出会えなさそうなので,今回この点は自分の中で妥協しました.

 

縮みや変形

乾燥機を使用した影響か,着丈が異様に縮んだものや全体的なシルエットが変形してしまった個体をしばしば見かけます.なので表記サイズがあるものも実寸サイズ(特に着丈)を参考にすべきでしょうし,できれば試着することが望ましいでしょう.

 

舞い上がりすぎない

ブラウンズビーチのベストが欲しすぎた上に舞い上がりすぎてうっかり汚れを見落とさないことが重要です.

マイサイズのブラウンズビーチを見つけ,思わず飛びついた某古着ツアーメンバーはパイピングに付いた汚れを見落とし,家に帰ってからその汚れの存在に気付きテンションが下がったそうです.

欲しいアイテムを見つけても舞い上がらず冷静沈着に商品を見定めることが大切です.

 

ちなみに僕が購入したものにも茶色いシミのようなものが付いていましたが,こんな感じの生地なのであまり目立ちません.言われないとぱっと見では気づかない程度です.ここを妥協しなかったら本当に次いつ出会えるかわからないのでここも妥協した点ではあります.

しかし,ご覧の通りビーチクロスは汚れが目立ちにくいので,多少の汚れがあってもきれいに着こなすことはできそうです.その点ではかなりおススメできるのではないでしょうか?ただパイピング部分は黒なので汚れがないかどうかは十分に注意した方が良いでしょう.

 

おわりに

念願のブラウンズビーチジャケットのベストを購入できました.しかも年代的には少し古めのものをまずまずの状態で入手することができたので,大満足です!!

ベストは重ね着した際にあまりかさばらないので,着ぶくれもしにくくおススメですよ!!気になる方は古着屋で是非探してみてください.

※年代推測はあくまで個人の見解ですので参考程度に留めておいてください.間違いなどご指摘あればよろしくお願いします.