タッセルモカシン《664》の記事はコチラから.

ペニーローファー《986》の記事はコチラから.

サイズ選びが難しい紐なし靴

紐でサイズの調節がきかないローファーのサイズ選びは難しいです.

 

しかもラスト(木型)の種類が複数あり,

ラストごとにフィッティングが異なってくるので,

それがさらにサイズ選びを難しくしているといっても過言ではありません.

 

今回の記事では,

タッセルモカシンに使用されているアバディーンラスト

ペニーローファーに使用されているヴァンラスト

徹底比較していきたいと思います!

 

サイズ選びの参考になれば幸いです.

ちなみに僕が好みのフィッティングはタイト目なフィッティングで,踵が浮かないフィッティングになります.

 

ラストの特徴

画像出典:The Shoe Mart

左から右に行くにつれて幅が広くなっていきます.

一番左に位置するアバディーンラストは最も細いことがわかります.

一方,ヴァンラストは右から4番目に位置し,

バリーラストに近いことが分かります.

 

ヒール部分に注目すると

アバディーンラストの方が

ヴァンラストよりもコンパクトであることは一目瞭然です.

 

またウエスト部分の「くびれ」もアバディーンラストの方が大きいです.

 

アバディーンラストを選ぶときに

ハーフサイズアップを推奨する方がいるのは

同サイズ同ウィズであってもアバディーンラストの方が

コンパクトのつくりとなっていることに起因します.

 

664と986を徹底比較

今回比較するのは

《664》 サイズ: 6 1/2(6ハーフ),ウィズ: E

《986》 サイズ: 6 1/2(6ハーフ),ウィズ: D

になります.

ウィズが異なるのでご注意ください.

 

全長

ソールにメジャーをあてて計測すると

《664》が28.4cm

《986》が28.4cm

とまったく同じでした.

実寸長は同じですが,

そもそもラストが異なりますし,履き口の形やヒールの形も異なるので

アバディーンラストの《664》の方が長く見えます.

ヒール部分に注目してみると,

ウェルト部分の張り出しが2足で全く異なります.

 

アウトソールだけをみると

アバディーンラストの方がコンパクトでしたが,

ヴァンラストはウェルトの張り出しが大きいので,

実際の踵のサイズ感はヴァンラストの方がコンパクトだったりします.

ウィズの違いがありますのでご注意ください.

 

全長の実寸が同じでもアバディーンラストの方が長く見えるのも

この張り出しが影響しているものと思います.

 

一方で,ヒールを覆う革の高さは

アバディーンラストの方が7㎝で

ヴァンラストの方が6.2㎝と

アバディーンラストの方が高いです.

 

またヒール部分がほぼ垂直に立ち上がるヴァンラストに対して,

アバディーンラストのヒールは内側にシェイプしていくので

踵の下部分はヴァンラストと比べて緩くても

踵部分のフィッティングを高めてくれることがわかります.

 

ソールにメジャーをあてて計測すると

《664》が10.5cm

《986》が10.1cm

とアバディーンラストの方が幅のある結果でした.

アバディーンラストの《664》はウィズEなのでご注意ください.

 

しかし履いてみるとその幅の違いはまったく感じません.

その理由は側面のウェルトの張り出しが

アバディーンラストの方が大きいことによります.

 

真上から撮影した画像をみると

側面のウェルトの張り出しがほとんど見えないヴァンラストに対して

アバディーンラストはウェルト部分の縫い目をしっかりと確認することができます.

 

これが履いた時のフィッティングに差を感じさせない要因だと思います.

 

つま先

トゥ部分を見てみると

サイドウォールを立ちあがりが急峻であるヴァンラストに対して

アバディーンラストは立ち上がりは緩やかです.

 

これは捨て寸に影響を与え,

アバディーンラストの方が捨て寸が若干長くなります.

 

実際に履いて比べてみる

《664》

 

 

《986》

 

 

まずはインビジブルソックスを履いた状態で比較します.

ソックスがみえる部分の面積は双方ともほぼ同じです.

しかし甲部分を覆う革の面積は《664》の方が大きいことが分かります.

これは《664》の方が捨て寸が長いことによります.

 

次に一般的なソックスを履いて比較します.

《664》

 

《986》

 

細身のアバディーンラストの方がウィズが広いのですが,

明らかにシュッとした印象を与えてくれます.

しかし足の締め付け具合は両者にほとんど差を感じません.

 

 

踵のフィッティングは

《986》の方がややコンパクトなサイズ感ですが,

前述の通り《664》でも問題のないフィッティングです.

 

サイズ感の結論

《アバディーンラスト》は《ヴァンラスト》と同サイズを選択した場合,

《ウィズ》を上げれば問題なし!という結果でした.

 

これは巷でいわれている「アバディーンラストはウィズを上げればOK」という通説を裏付ける結果と完全に一致するものでした.

 

ただ,僕の場合はこれでフィッティングに問題はありませんでしたが,

足の形の個体差は千差万別なので心配な方は試着することをおススメします.

 

おわりに

《アバディーンラスト》の《664》と《ヴァンラスト》の《986》の

フィッティングを徹底比較しました.

 

結果は「アバディーンラストはウィズを上げればOK!」です!

 

フィッティングが難しい紐なし靴を選ぶ際の参考になれば幸いです.